5日目は朝4時半に自然と目が覚めた。不思議な事に旅をする時には目覚ましなど無くとも、起きたい時間に自然と目覚める。
ハット小屋の外に出ると星がまだ出ている。Nも起きだしてきた。
空の色が黒から濃い藍色にかわる中を海亀の産卵する砂浜に向かった。
砂浜には既に5~6人の観光客がいた。
少しずつ明るくなってきて、産卵を既に終え、卵に砂をかけている海亀を発見。
フラッシュは亀を驚かせてしまうので厳禁だ。暗すぎてオートフォーカスはきかないので、どうにかマニュアル・フォーカスで撮ってみる。しかし、暗くて全然よく見えない。
そこにイギリス人が一名やってきて、突然フラッシュを焚いた。
「フラッシュ禁止ですよ!」
彼は亀に向かって「ソーリー」と一言い去って行った。産卵後の亀でよかった・・・
産卵後の卵に砂をかけるのに2時間ほどかかる。7時ごろまでじっくり待って、黄色い朝日に照らされる中、産卵を無事終えゆっくりと海に戻って行く亀を撮ってから、キャンプ場に戻った。
こんなに大変な産卵をする海亀だが、孵化した小亀は蟹などに狙われてしまい、砂浜から海に行ける数は少ないらしい。海に行けてもあらゆる天敵に食べられてしまったりして、親亀になるまで成長出来るのは2000匹に1匹とも3000匹に1匹の割合とも聞く。なんとも自然は厳しい・・・
まるで夕陽のように赤い朝日がアラビア湾に昇る。亀はこの海からやってきて、帰っていく。