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サハラの中の舗装道路で。 on the way to Ghat

ある国のサハラ砂漠をアルジェリアとの国境近くにある、トウアレグ族が定住している町に向かっていた時の事だ。
砂漠の中に1本だけある舗装道路を走っていた。
道路の両側では強烈な日差しの中、蜃気楼があちこちに浮かんでは消え、地平線と砂丘や岩山だけが延々と続いていた。
蜃気楼は、まるでいくつもある湖のように見えクラクラした。 日が暮れる1時間ほど前だった。

そんな道を向こうからトコトコ歩いてくる、17歳くらいの黒人の少年がいた。
ぼろぼろの靴を履いて、一番近い町までは50KM以上あるような半端な場所だった。僕の向かっていた町から歩いてきたらしいから、既に100キロは歩いてきた事になる。いったい何日かけて歩いて、日陰も無いような砂漠の何処で寝たんだろう?
ニジェールあたりからの密入国者のようだった。

あの辺の国からは、毎日のように仕事を求めて、サハラ砂漠を20日近くかけて、軽トラで渡ってくる密入国者がかなりいるそうだ。
その9割以上の人たちは、軽トラが故障したりして、たどり着く前にサハラのど真ん中で命を落とすらしい。小さな軽トラに数十人も乗り込むそうだ。
たどり着いた中の更に9割は警察に捕まって、強制送還されるか刑務所に入れられるらしい。
あのボロ靴を履いた少年も、きっと次の町にたどり着く前に捕まるだろうと、サハラ南部出身のドライバーが呆れた様に言っていた。

ドライバーと料理人には止められたのだが、少年に車に乗って一緒に僕の向かっていた町まで戻るかと聞いたら、笑顔で拒否してきた。英語もアラビア語も通じないようなので身振り手振りの会話だった。
僕も馬鹿だった。その町に職が見つからなかったから、次の町(村)に歩いていこうとしていたのだろう。
水のボトルと食料を渡して別れた。
少年は希望に満ちた顔で「ありがとう」の一言を言葉ではなく笑顔で残して、またトコトコと歩いていった。

贅沢に撮影旅行をしている僕のような日本人もいれば、食いつなぐ為の僅かな希望を持って、命をかけてサハラを渡ってくるアフリカ人も居る。
僕にとってはサハラは美しく謎に満ちていて、オープン博物館か天然美術館のようだが、少し運が悪ければ命に関わる恐ろしい場所。
多くのアフリカ人にとっては、夢を得れるかもしれない、しかしきっと幻想でしかない国への、命を奪う単に恐ろしく厳しい場所。

どちらにとっても、夢を見れるが恐ろしい場所という事だけが共通しているが、その重みが全く違う。
恥ずかしくも複雑な気持ちになった。

素晴らしい希望に満ちた笑顔を持った少年だったが、カメラを向けようかどうか一瞬だけ迷った後に、少年は撮らずに少年が歩いてきた道にレンズを向けた。。


あの日から3年以上経ったろうか。少年はどうしているだろう。

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