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旅 Lake in Sahara

僕は数年前に旅して以来、「旅」はしていない事にふと気づいた。

その後も、頻繁にあちこち行ってはいるが、目的地に向かっての自力での旅ではなく、また放浪するように彷徨う旅でもなく、撮影しやすいように不安要素は排除して楽に移動出来るよう全て細かく計画し準備した1~2週間以内の撮影旅行だ。旅自体が目的ではなくなっていた。
もちろん、旅に期間は関係ないとは思う。日帰りでも素晴らしい旅は出来るし、1年でも旅が旅ではなくなってしまうこともある。
以前は旅のついでに写真を撮っていたのが、気がつくといつの間にか撮影のために飛行機に乗るに変っていた。
そんな事から、ここ1~2年の間、テーマやその場所に感じたイメージを旅とは直接クロスさせずに撮る事が増えたが、本当の意味での「旅写真」は撮らなく(撮れなく)なっていたようだ。してる事が旅ではないからクロスさせたくても、させようがない(笑)。何が違うんだ?と言われそうだが、感覚的に微妙に何かが違う。どちらが良い悪いの問題ではなく。

予定を決めず、見知らぬ町を放浪するように日々移動して(または数時間歩いて)、あきたら(または疲れたら)帰ってくる。
なぜ大好きだったそんな旅することを止めたのか、と自問してみた。

以前にも増して情報が氾濫しているので行く前に全体像がなんとなく見えてしまい、その地に「旅」として行きたいという強い衝動が起きないからかもしれない。
単に行きたい場所に必要なだけの十分な時間が取れないからかもしれない。
旅そのものを楽しむより、写真を撮る事を先に考えてしまうからかもしれない。

18の時にROCKを求めて初めてロンドンに飛んだ時の、全てが新鮮だったあのドキドキした感覚をまた感じる事はないのかもしれないと思うと少し寂しい。そりゃあ、長い年月のせいもあり当たり前の事だが(笑)
飛行機の中でクラッシュの「ロンドン・コーリング」をカセットテープのウオークマンでずっと聞いていた。
今でも「ロンドン・コーリング」は移動時にI-PODで聞いている。
当時、パンナムに英国ロック好きには何故か有名だった世界一周便という飛行機があって、ガラガラの機内で朝食を3回も食べながら24時間以上かけてロンドンに飛んだ事を思い出した。あのオムレツとマッシュルームとトマトは旨かった。未だにあれくらい旨い機内食には出会えていない。

などと、多分どうでも良いことを考えていてふと気がついた。
カイロを感じることが僕にとっては、かつて「旅」や「ROCK」していた時と同じような刺激的感覚[Kicks]を今でも時々与えてくれている。

久しぶりに旅そのものが目的のカメラを持たない旅がしたくなってきた。しかし、きっとコンパクトくらいは持っていくんだろうな~(笑)

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