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シナイの月 Moon over Sinai

私が過去、一番印象的だと思った夕焼けは1990年代半ば過ぎにシナイ半島のダハブで見たピンクがかった夕焼けと、
同じ年にモロッコのアズルーで見たビビッドな真っ赤な夕焼けだった。

どちらも山の夕焼け。シナイは沙漠の岩山、モロッコは緑ある山だった。

その10年後にモロッコのアズルーに夕焼けを見に再訪したが、夕焼けはみれなかった。

15年以上の年月を経た今年のダハブでは夕焼けを見れなかった。
その代りにダハブでは朝の月を見た。

8月の半ばに、混沌としたカイロにてシナイ沙漠を思う。

永遠のものなど存在しない。

その事実を目のあたりにし、再び思う。

永遠のものなど存在しない。

それは、嘆き悲しむことではなく、数千年と、数万年と繰り返されてきた事象のほんの一部に過ぎない。

Smile you are in Egypt.

誰かの声を遠い過去に聞いた。

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ダハブ(黄金)の沙漠

シナイ半島は、その全体が沙漠だ。紅海と地中海に囲まれた沙漠。
4WDに乗らなくとも、普通の車での移動時に岩沙漠や、ちょっとした砂丘のようなものを時折、車窓から見ることが出来る。よって、ビーチリゾートが目的でも、ちらっとだけ沙漠を垣間見ることが可能だ。
しかし残念ながら、おおっ砂だ!という場所は残念ながら車が駐車できないような山道だったりすることが多い。

この画像の岩に砂が被ったような沙漠は、シャルムシェイク空港からリゾート地ダハブ(黄金の意味)方向に向かう途中の道沿いに見ることができる。過去に幾度か見かけ、おお!岩山の上の砂丘だ!と思いながら撮ることは無く、今年になってから、やっと走る車の中からコンデジ(XZ-2)で撮ることが出来た。

沙漠が好きな旅人の間では岩山も含めシナイ沙漠と呼ぶことが多いようだが、シナイのべドウイン(遊牧民)は、岩山のことは砂が積もっている場所でも「山」と呼び沙漠とは呼ばないようだ。

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水中砂漠

シナイ半島のアラビア沙漠とアフリカ大陸の東方砂漠に囲まれた海、紅海。
私はその海の中に、砂漠と同じくらいに惹きつけられる。

そこには海中砂丘があり、砂漠と同じような宇宙的な景色がある。

岩山の代わりに珊瑚があり、駱駝やロバや砂漠ギツネの代わりに、
エイやサメやウミガメが行きかう。

澄んだ空気の代わりに、透きとおった海水が流れる。

そこは怖ろしく、また美しく、私を強く魅了する。

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岩沙漠のボヘミアンな沈没船 Sinai moon

アラビア沙漠のとあるどでかい岩山の麓には、そこに到着後、その地を抜け出せなくなった旅人がいる。

ヨーロッパ出身の彼は、十年以上前にそこに辿り着き、今では村のごみを拾い集め、猫に餌を与えることを日々の日課としている。収入源は、村人たちの庭を掃除したりして得るチップのみ。

ある夜、彼と話をしてみた。

何故そこに住み着いたのか?「分からない」
何故そこが好きなのか?「分からない」
次はどこへ行くのか?
「南アメリカから数年前に訪れてきた女性に恋をした。彼女の国へ行く。」

彼の目は、何も見ていなかった。時折、意味不明の物語を語りだし笑っていた。
しかし、時折ごくごくまともなことを言ってみたりもした。
そんな時の彼の瞳には善人の澄んだそれが見えた。
そして、突然、彼の耳元では音楽が奏でられるようだ。

彼にいったい何が起きたのかは分からないが、けして不幸そうではなかった。

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理由 The reason why

「好き」に理由など必要ないと思いつつ、ふと考えてみる。

その夜空の冷たい「静けさ」だとか、焚き火の炎の危ういくらいの「美しさ」だとか、
風の音の「やさしさ」だとか、その空気の「甘さ」だとか、クスクスやバーベキューの「辛さ」だとか。
砂の「やわらかさ」だとか、岩の「固さ」だとか無理やり理由付けをしてみる。

なぜ砂漠が好きなのか、真剣に考えれば細かい理由はきっとたくさんあるのだろうが、空気がきれいで、静かでよく寝れるという以外に、実は、本当は特別な理由が思い浮かばない。
僕にとっては、それくらいに単純な理由なんだろう。あ、キツネがいたか(笑)

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